開発は創造的な仕事のはずなのに

R&D の業務とは他の職種に比べ大いに創造性を必要とする。ましてや、ソフトウェアとは目に見えないものを考え、それを具現化していく作業であり、よりいっそう個々のエンジニアの創造性を必要とする。これは、企画や仕様策定者だけではない。インプリメンテーションを担当する設計者や製造者全てにおいて必要である。
製品を開発する際、コンセプトが重要であることは周知であるが、ヒット商品と呼ばれる製品においてのコンセプトは単純明快で共感を覚えるものが多い。このようなコンセプトは決まってある少数の人物から生まれている。これはまさに一級の創造性である。だが、当初の画期的なコンセプトが開発を行うに従い、色あせ、意味の分からないガラクタになってしまうことも多い。これらの違いはなぜであろうか?それは開発に携わった全てのエンジニアの創造性によるものであると考える。当初のコンセプトを実現するためにはどのような機能を備えるべきか?コンセプトを際立たせるアイデアはないか?その機能を実現するに当たり、コンセプトに則った実現方法は?などを個々のエンジニアが個々の創造性を生み出して行ったからこそ成功を収めたのではないだろうか。それが、開発者・製造者はコンセプトに則って作業を行うのみと創造性を破棄してしまえば(破棄せざる終えなければ)、おのずとそのすばらしいコンセプトは本来末広がりに広がるものが、尻すぼみとなり夢は潰えてしまう。
これは、現在の開発体系や環境、通例、組織などの多くの影響により、エンジニアにとって一番大事な創造性が奪われていると思っている。エンジニアなら皆必ず、胸躍るプロジェクトで創造的に活動する自分を切望している。そうした時の効果も十分理解できているはずだ。そのためには、自ら創造性の発揮できる環境を整えなければならない。これが出来ない以上は、よりよい仕事もよりよいものも出来ない。自分のためにもプロジェクトのためにもならない。


vol.6

ソフトウェアは目に見えないためにより創造性とインスピレーションを必要とします。優れたソフトウェアエンジニアは皆すばらしい世界観を持っています。だけど、人間は決められたとおりには創造性を発揮できない。製品のよくある絵に描いたもちのようにはいかないのです。
それを救えるのがプロマネの人格を含む力量なんだと私は信じています。