責任の明確化

チームを運営する際、重要なのが責任の所在である。責任範囲とはその担当範囲とイコール関係にある。担当者は、責任があると感じると、その箇所に関して検討を行い、設計を行い、その後問題が無いかを全フェーズを通して監視する。責任範囲を明確にしないことは、担当範囲を明確にしないことと同様である。よって、リーダーは責任範囲を明確にメンバーに伝え、進捗時にはその担当者に確認を行うべきである。


但し、最初から全設計箇所や作業内容を把握することは難しいため、どうしても穴が開く。そのような箇所は、サブリーダーもしくはリーダーが監視を行うようにし、その都度適切に対処を行うようにする。ようするに、各担当に割り振れなかったことは、全てリーダー預かりとなる。おのずとリーダーには、雑務が多くなる。それも重要な雑務が。これが、リーダーが究極の雑用たる所以である。言うまでも無いことであるが、部下の責任は上司の責任である。よってリーダーは、全責任を負う=全担当である。リーダーは、このことを決して忘れてはいけない。


責任を明確にすると、チームの体質が一変する。これまでの日本の管理は、”あいまい”管理がこれまでの方法で、あいまいであるが為に、皆がサポートしあい、助け合いながらよいものを作ってきた。だが、この方法は、意味の無い残業を引き起こし、「やることが無いのに、皆ががんばっているので帰りづらい」、「責任を持ちたがらない」とゆう悪影響を引き起こす。この現象は、研究開発部門には必ずある悪い風習で、日本人に根強くのこる潜在的な感情であり、”日本の美学”のように扱われている。だが、このような意味の無い残業は、コスト高を引き起こし、チームの雰囲気を強制的なものにしてしまい、創造的な環境が壊れ、個人のモチベーションが低下してしまう。そこで、責任を明確にし、担当分担を明確にすることによって、他メンバーの影響を受けずに、個々のスケジュールに従って勤怠を行うことが可能となる。だが、先にも述べたが、連携することが”日本の美学”である考えが根強く残っているので、メンバーに対する啓蒙運動が必要である。このことにより、責任感が増し、より責任意識の明確となった創造的な開発が可能となる。


vol.16

個人の担当・責任を明確にするだけでは縦割りの連携が伴わない体制になってしまう。だからといって1つの箱にみんなを押し込んでも誰もリスクは取りたがらない。ババだけが残ってしまう。これでは熟成されたシステムは開発出来ない。


あいまいなところをうまくやれるのが”日本の美学”。これはこのまえ受けたセミナーでも香港のアナリストが日本の特徴・強みとして紹介していた。日本は築城の石垣にしても料理にしても大工道具にしてもすべてボトムアップ(補足すると、石垣は、大小の石を組み合わせて調整している(現場主義)。料理は、コース(順番が決まっている)ではなく一度に出てくる(客が自由に食べる順番を決めれる)。大工道具はすべて引くことにより機能する(かんな、鋸など))のプル型文化であるのに対し、欧米(日本以外のほとんど?)はトップダウンのプッシュ型文化である。


話を戻すと、責任は決めたい、だけどすべては決めれない。そこで重要になるのがリーダーになる。リーダーはプロジェクト全体に責任を持ち、メンバー⊂リーダーとなればよい。リーダーはメンバーからこぼれた部分をまさに調整し、メンバーに任せられる粒度に砕いてから再配分することが大事かと思います。