計画のないプロジェクトは海図のない船である

プロジェクトにとって、計画フェーズは最も重要な工程であり、ある著名なマネジメント書では、計画フェーズの重要性を訴え、スケジュールの1/3を割り当てるべきだと主張している。だが、この期間でも、詳細でしっかりした仕様を作るのがやっとで、新しい技術の調査や研究を行うには、足りないとしている。ちなみに、テスト工程は、もっと多い1/2を割り当てている。計画が正しく行われない場合、この比率はもっと高くなるだろう。


計画フェーズでは主に、スケジュール策定、コスト算出、機能仕様の策定、要員計画、調達計画、開発環境の整備、リスクの検討など、多くの、しかも基礎となる重要なことを決めなければならない。これらがある程度確定した段階で次の設計フェーズに入らなければ、足並みがそろわなく、いたるところで破錠をきたす。それは、テストフェーズまで引きずり、テスト工程がいつまでも収まらない、最悪の事態に陥ってしまう。
このようなプロジェクトは、得てして、設計工程中もひずみが発生し、多くの手戻りからエンジニアの作業負荷が上がり、創造的な作業は行われず、製品も生まれない。これらは、技術的な問題ではなく、リーダーのマネジメントや技量による問題である。


では、計画の無いプロジェクトは、どのようになってしまうのだろうか。スケジュールが不足していれば、各チームの足並みが合わなく、クリティカルパスを有効活用できない。機能仕様が不備であれば、設計に手戻りが発生し、要員計画があっていなければ、スケジュールにあったアウトプットは出てこない。それらは、まさに海図やコンパスが無い状態の船で、大航海に出かけるようなもので、どの方向に進めばよいのかわからず、乗組員は、持ち場も決まっておらず、どのように動けばよいのか分からない。嵐にでもあった日には、なすすべも無くおろおろするばかり。


このように沈没しないように、事前に計画を立て、体制を確立し、緊急時の対応も予想し、必勝体制で臨むべきである。だが、プロジェクトは生き物であるため、絶対とは言い切れないだろう。そこで、幅を持たせた体制や方針を検討し、サブリーダーが、自発的に行動できるような指針が、必要となる。


vol.32

計画がないと何が正しいのかが判断できなくなってしまいます。これは、計画通りに進まない、ものが出来ない、などの問題以前に、目標となるものが無いことによる精神的な影響のほうが大きいと思います。