残業がもたらすもの

日本のエンジニアは、残業が好きだなと、つくづく感じる。海外の、ある日系企業を見ても、遅くまで残っているのは、日本人だけである。これは、国民性によるものなのかも知れない。海外のエンジニアは、定時には、必ず帰宅してしまう。金曜日などは、3時くらいにはあがってしまう。これは、家庭や自分の時間を、大切にしているからだ。だが、ただ早く帰るだけではない。早く帰れるように、日々業務の効率化を考えている。これは、開発の効率化ではなく、日常業務の効率化である。例えば、朝早くから作業を行ったり、会議を効率よく実施したりして、自分の時間を守っているのだ。それに比べて、日本人はどうであろうか。終電間際まで皆で居残って作業を行い、次の日の朝は、力尽きて遅く出社してしまう。さらに悪いのは、作業が無い人も、帰れる雰囲気じゃないと、一緒に残ってしまう。家に帰れば、寝るだけであり、家庭や自分の時間などは、わずかしか存在しない。これで本当に、創造的な開発が出来るのであろうか?


研究・開発に、残業を無くせと言っているわけではない。逆に、研究・開発作業には、山谷があって、やるときはとことんやらなければならないときがあるだろう。だが、慢性的な残業は、健康的な発想をつぶし、モチベーションを下げ、健康を損ないかねない。これでは、長い目で見れば良い事など無いことは、一目瞭然である。一番問題なのは、惰性で仕事を進めてしまうことである。惰性で行った作業には、創造性などは存在しない。ただ、言われたことを行い、責任を逃れ、結果を待つのみである。もっとメリハリをつけ、エンジニアとして自覚を持って、作業に当たるようにしなければならない。それは、雰囲気も変え、管理者や上司が率先して、環境作りに励まなければならない。それが、知的創造性を高め、よりよい製品を作ることになるのだと思う。


vol.45

日本では昔から江戸幕府の4〜5人の老中らによる合議制にも代表されるように寄り合いによる意思決定が多いですよね。そのこともあって「摺り合せ上手」な日本独自の文化ができたんだと勝手に理解しているのですが、これはこれで日本の大事な利点だと思います。ですが、全てに根回ししてみんなから80点をとるような決定を下すのが日本です。逆に一部から100点とるようなものは切り捨てられる。これらを変えるためには個人個人がオリジナリティの主張と責任をもつことが大事だと思っています。で戻って、今回の残業にしても自分でしっかりと主張と責任を持つことによって変わっていくものではないかと思います。